「準備できたよ…」
体育倉庫から麻美がボールをたくさん持ってきた。

私は…壁に背をくっつけて大の字のように立っていた。
逃げられないように…
雪と美希が私の腕をしっかりと握っていた。

「間違えて…私たちに当てないでよ…」
笑顔で、雪が言った。

「大丈夫だって…じゃあ、行くよ」
綾が力いっぱいにボールを投げつけてきた。

手が塞がって…
受け取れない私。

ボールは私の顔に当たった。

痛かった…


「じゃあ…次はお腹でもねらおうかな…」

それだけは止めて。
お腹に当てたら…
赤ちゃんが。

そう思った私は
「やめて!!」
と叫んで…

雪の手を離し。
美希の手を離し…
突き飛ばしていた…

呆気にとられていたのは綾たちだった。

綾たちはそれ以上…
何もしなかった。