愛されて

「おはよう…」
私が教室に入ると…
「おはよう」
と雪と麻美がやってきた。

綾も
「おはよう…」
ってやって来た。

いつもは…みんな返事しないのに。

今日は聖が
「おはよう…」
と言った。

“何で？聖が綾に話しかけるの？”
みんな不思議そうな顔で聖を見ていた。

綾は聖が話しかけてくれたのが嬉しかったのか…聖にいろいろと話をしていた。

聖が怒ったのは…
「お前、調子にのってんじゃないよ…」
昼休みのことだった。

「お前、見ているとむかつくんだよ…」

やっぱり…私は思った。
朝、聖が綾に話しかけたのは油断させるためだったのだ。

聖の言葉に…
綾は黙っている…とみんな思った。

なのに…綾は。
「あんた…私に嫉妬しているんでしょう？」
と平然に言い放った。

「はぁ!?どうして？私があんたなんかに嫉妬するのよ…」

「私がキレイだから…男子にチヤホヤされているから、うらやましいんでしょう？」

クラスのみんなは何も言わなかった。

私は綾が…
あんな事言うなんて。
思ってもみなかった。

綾の本性があらわれた。

綾は…帰りのホームルームで。
「先生、学級委員選挙のやり直しをお願いします」
と言い出した。

「えっ！どうしてなんだ？」
大沢先生が聞いた。

綾は怯むことなく…
「学級委員である聖さんが…クラスの子みんなに、私を無視しろと言ったからです…そんな人が本当に学級委員でいいんですか？」
と言った。

綾が言っていることは正論だ。
でも…
時と場所を考えてほしい。