街はずれにある森には名前が付いてなかった だが、街の人々からは 『立ち入るべからず死の森』 という呪文のような呼び方で覚えられていた 学校では「絶対に入らないこと」と厳しく教えられていた そんな森に、男が一人 立ち入り禁止のチェーンもこわし ズンズンと森に入っていった その男は顔がまったく見えないように すっぽりと黒いコートを身に着けていた 男は森の木を使って、家を作った ある作戦を成功させるために―。