「ったく、早くしろよ」


そう言いながらも待っててくれる、さりげない翔の優しさ。


「ごめんっ」


「澪姉はおっせーな」


完璧翔はあたしのことを年下扱い。

そりゃ、年子だし…あたしの方が子供っぽいし?


「う、うるさいっ!」


ドンッ

あたしが翔の頭を叩こうとしたとき、角を曲がってきた翔と同じ制服の人とぶつかった。


「ご、ごめんなさっ…」


「ん?君…」


頭上から降ってくる声。


「あ、春日澪でしょ?俺のアリスちゃん★」


あたしがその人を見上げたのと同時に、何かがあたしのおでこにちゅっと口づけ。

は、い?

その『何か』は、金髪にピアス。

それに似合わない無邪気な笑顔。

第一印象史上最低最悪な男だったわけで。

…この人、誰ですか!?


「え?えっ…?」


あたしは戸惑って目を見開いた。