此処に居る理由。

「オマエ、何してんの??」


入り口に立っていたのは、

同じクラスのコウヤだった。


金木昂也(カネキコウヤ)

丸坊主の典型的な野球部。

ちょっと短気なトコロもあるけど、割と仲良い友達。


『…コウヤこそ。そんな格好で何してんの??』


入り口に立つコウヤは、砂まみれの練習着姿だった。


「オレは忘れもの。」


そう言ってコウヤはロッカーをあせりだした。


『ふ〜ん。アタシは電通だから…電車来るまで時間つぶしてんの。』


「あっそ。」


『…アンタね、聞いときながら"あっそ"って…。』


「…オマエ、ボォーと外眺めて楽しい?つぅか、オマエ、いっつも退屈そうだよな。」

不意をついたコウヤの言葉に、どう返答したらいぃのか躊躇った。


『…。』


「…まぁいいけどよ。んじゃ、気をつけて帰れよ。」


『ぇ、ぁ、うん。』


忘れものをしたはずのコウヤは手ぶらのまま教室を出て行った。


…意味分かんない。


退屈そう??

やっぱりバレてた??

でも、みんなの前ではきちんと笑っている。


ちゃんと楽しい"フリ"をしていたのに。