「俺?」
 
確実に自分に言っているのにきいてみる。

焦りを隠すために。

すると、戸城は冗談だと思ったのか、

クスッと笑った。

しかし、すぐに真剣な声で言った。

「あたしじゃ、駄目かな?
そうだよね、関山君モテるし……」
 
その言葉を聞きながら、俺の中では

さっきの夢が頭の中に鮮明に蘇っていた。

ここで断ればアイのことを好きでいれる。

だけどそのままだと離れていって

しまうかもしれない。
 
「待ってて」

俺はそう告げた。

すると、戸城はパッと笑顔になって

俺を見た。

やっぱり学校一美人だ、と思う。

そして俺は、戸城に手を振り、

「さようなら」と言うと家に帰った。