雨がさらに強くなり、俺は自転車をもっと

早くこいだ。

「ただいま」
「おかえり……ってお兄ちゃん、
びしょびしょじゃんっ」

玄関先まで迎えに来たアイが

驚きながら言った。

アイはすぐにタオルを洗面所から

持ってきて俺に渡してくれる。

「サンキュ」
 
俺はタオルを受け取って髪を拭いた。

本当に嫌になる。

そんなことされると、もっと好きに

なってしまう。

結ばれないって分かってるのに――。

夕飯まではまだ時間があったので、

俺は自分の部屋に行った。

「お兄ちゃん、入るよ」

コンコン、とドアをノックしてアイ

が部屋に入って来た。