その日、俺は1人で家まで帰った。

電車に乗っている時も、自転車で駅から

帰る時も、1人で寂しかった。

自転車に乗っている時、雨が降り始めた。

家まではあと10分近くある。

「父さんの予言も当たるもんだな」

俺はつぶいたが、その言葉は誰にも

聞こえなくて、むなしく少し響いた

だけだった。

そして、あとになって涙が出てきた。

でも今はきっと、戸城も泣いているの

だろう、雨に隠れて。
 
「最低だ」

自分に対して言った。

戸城を少なからず利用したのに、

そのままフって、なのに泣いて。

もう自分でも分からなかった。

でもただ1つ言えることは、俺が本当に

好きなのはアイだということ。

それだけは本当だ。