俺はどうしていいか分からず、

戸城を抱き締めた。

こんなことするなんて、もっと

最低な男かもしれない。

それでも、俺に出来ることは

これだけしかなかった。

「もっと好きになっちゃうよ……。
 でも」

戸城はそう言うと、俺の手を

離して少し離れた。

そして、俺の方をまっすぐ見る。

「このままじゃ関山君の幸せは
 来ないから、あたしは関山君の
 幸せを優先する」

そう言って笑顔を作ると、

戸城は俺に背を向けて歩き出した。

ごめん、戸城。