俺はまた、返せなくて目の前に

置かれたご飯を口に運んだ。
 
「行ってきます」

俺はカバンを肩から下げて家を出た。

時刻は9時少し前。

待ち合わせは近くの駅で9時集合だ。

自転車に跨り、力いっぱいペダルを踏む。

ほほに当たる風が気持ち良かった。

俺は、つい3日前のシンゴの言葉を

忘れて素直に楽しもうと思った。

今日、もう俺がダメだと判断したら、

ここまでだ。

もうこれ以上、戸城を利用し続けること

なんてできない。

しばらくすると、駅が見えてきた。

駅にある駐輪場に自転車を止め、

待ち合わせ場所になっている

きっぷ売場に向かった。

そこには既に戸城が居た。

「ごめん。遅れた……」