アイは俺なんか見ないで、

「お兄ちゃん……、今はごめん」

とだけ言った。
 
「なんだよー、冷たいなあ」

俺は唇をとがらせる。

そしてわざとアイに近寄って、

勉強している所を上から覗き込む。

アイは俺に集中力を切られたので、

字を間違えたらしく、

消しゴムで消していた。

「あっ、似てる」

俺は思わずつぶやいた。

アイの消しゴムの使い方が角ではなく、

まん中で消すところが似ていたのだ。

やっぱり双子の兄妹なんだな、と

嬉しいのか、悲しいのか

変な気分になった。