アイは一瞬、俺の方を見て

怒ったような顔をしたが、

すぐに諦めたのか、タコの

形に切ったウインナーを

口に入れた。

「はい、早く行きなよー。
ここにお弁当置いてあるから」

母は弁当を3人分机の上に

ドンと乗せた。

俺とアイと父の分だ。
 
俺はご飯の最後の一口を口に入れ、

弁当を鞄の中に入れる。

そして家を出た。

「お兄ちゃんなんか、
遅れたらいいのに……」
「うるさい。じゃあな!」

俺たちの学校は家を出てすぐに

左右に別れた。

俺は自転車のスピードを

上げながら溜息を吐いた。
 
あの綺麗な二重の瞳に長いマツ毛。

そして綺麗な茶がかった髪。

全てが好きだ。