女生徒は、かすかにほっぺたを

赤くさせてうつむく。

何故照れていたかは分からないが、

俺は頭を下げると自転車を

思いっきりこいだ。

早く行かないと。

もう既に家を出ているかもしれない。

信号を曲がってすぐ右に曲がる。

少し進んでいくと、薄いオレンジ色の

家が見えた。

間違いない、表札には[戸城]と

書かれていた。

玄関のチャイムを押す。

『はい』

インターホンの奥から戸城の声が

聞こえた。

俺は「関山です」と妙に

改まった口調で言った。

「おはよう。わざわざ迎えに
来てくれたの?」
「まあ。一応、彼氏だし」