ほんとは、ちっともいい子じゃないから。


ただいい子を演じてるだけだから。


「いい子は、疲れますよ先生」


ポツリと呟いた言葉だった。


「確かに、いい子は疲れる」


「えっ?」


聞こえてないと思ってたのに、先生からは言葉が返ってきた。


「ああ、違うな。いい子を演じるのは疲れるんだ」


足を止めた先生は、空を見上げた。


つられて私も空を見上げる。


真っ暗な空には、いくつもの星が輝いていた。


「この前言ってたよね?頑張らないと誰も自分を見てくれないって」


「・・・はい」


そう、頑張ったら私を見てくれると思った。


だから、勉強も運動も出来る、いい子になろうって。