音を奏でて~放課後の音楽室~

「さあ、食べよっか」


「はい」


ケーキにフォークを刺して、一口食べる。


「おいしい」


フワフワのスポンジに、甘いクリーム、少し酸味の効いた苺がマッチして、すごくおいしいケーキだった。


「よかった。優音ちゃん、やっと笑ってくれて」


「えっ?」


意外な言葉に、思わず目を丸くしてしまった。


「なんか、来たときに元気ないな~って思って」


「どうして?」


「優音ちゃんと出会って、10年くらいかな?なんとなく、分かるのよ」


親でも分かってくれないことを、みちる先生は分かってくれたの?


「ほら、食べて。紅茶も美味しく淹れれたんだから」


「うん」


みちる先生に笑顔を見せると、先生もニッコリ笑ってくれた。