音を奏でて~放課後の音楽室~

「はい、どうぞ」


リビングにあるソファーに座っていると、みちる先生がショートケーキと紅茶を出してくれた。


このリビングにも、ピアノが置いてある。


「ありがとうございます」


みちる先生も私の隣に座って、紅茶をひとくちすすった。


「そうだ優音ちゃん。手、出してごらん」


「手?」


急に言われて訳も分からず、みちる先生に手を差し出す。


「あんまり、手をいじめちゃダメよ」


そう言ってみちる先生は、テーブルの下から竹籠を取り出した。


その中からハンドクリームを取り出し、私の手に塗ってくれる。


ピーチの、いい香りがした。


マッサージをするようにクリームを塗り込んでくれる。


「ほら、これでいいわ」


みちる先生にマッサージされた手は、ほんのり温かくなっていて、なんだか私の心まで温かくさせた。