おばあちゃんは、私だけのおばあちゃんじゃない。


花音と私の、おばあちゃんなの。


分かってるのに、花音に向けるおばあちゃんの優しさがイヤ。


おばあちゃんを取られたみたいで。


ああ、私の心はなんて汚いんだろう。


ドロドロ、ドロドロ


きっと私の心の中は、茶色く汚れた川より汚い。


「ほら、お昼出来たわよ」


台所の方から、お母さんの声がする。


「おばあちゃん、ご飯だって。お父さ~ん」


花音の声に、どこからかお父さんが現れた。


「おばあちゃん、私の隣がいい」


「分かった、分かった」


お父さんは花音の頭をなでると、おばあちゃんを抱き上げて車椅子に乗せた。


そのまま車椅子を押し、私が普段ご飯を食べるときに使ってる椅子をどけて、おばあちゃんの乗った車椅子をそこに止めた。