「お姉ちゃん、ピアノ弾いて」


「うん。いいよ」


「じゃあ私、おばあちゃんの隣ね」


ソファーに座ってるおばあちゃんの隣に花音は座ると、嬉しそうにおばあちゃんの手を握った。


花音が一週間、家に戻ってきた。


それに合わせるように、おばあちゃんも土日だけ一時帰宅をした。


今朝、お父さんがおばあちゃんを施設まで迎えに行ったの。


せっかく花音が帰ってきてるんだから、家族みんなで過ごそうって。


久しぶりにおばあちゃんに会えたからか、花音は朝からおばあちゃんにべったり。


「じゃあ、花音が知ってそうな曲弾くね」


「うん!」


花音が聞いたことあるであろう、CMで使われてる曲をいくつか弾く。


そのたびに花音は、これ知ってる!と声を上げて、嬉しそうに笑った。


そんな花音を、優しい目で見つめてるおばあちゃん。


なんだか胸が、チクンと痛んだ。