音を奏でて~放課後の音楽室~

「だって、完璧じゃなきゃ、いい子じゃなきゃ、誰も私のことなんか見てくれない!だから、頑張るの。だから・・・」


胸まで出かかった言葉が、ポロポロと溢れてくる。


「誰もほんとの私を知らない癖に、なんでそうやって言うの!なんで・・・」


止まらない言葉に、止まらない涙。


「誰も私のことなんか分からない!分かってくれなっ・・・」


「もういい。分かったから」


先生の人差し指が、私の唇に触れる。


「もう、いい」


唇から離れた手が、今度は私の頭をなでた。


「君は、どうしてこうも俺と似ているんだろうね?」


「せん・・・せい」


「君は、みんなから見えない部分ですごく頑張ってる。でも、頑張り過ぎなくていいんだよ」


「でも・・・」


頑張っても、頑張っても、親は振り向いてくれない。


もうとっくに諦めたはずなのに、未だに振り向いて欲しいと思ってる。