音を奏でて~放課後の音楽室~

全員が帰ったころを見計らって、音楽室に戻る。


一人ポツンと、ピアノの前に座った。


ピアノのふたを開いて、そっと鍵盤に触れる。


「私、完璧なんかじゃないよ」


完璧な子じゃない。


出来る子じゃない。


いい子じゃない。


「そろそろ帰りましょうか?」


その声にハッと顔を上げると、内田先生が笑顔でドアのところに立っていた。


「今日は、少し問題ありでしたか?」


「なんで・・・」


「さっき、田島さんと会って話してくれました」


「葵が・・・」


先生が私の隣に立つ。


「清水さんが言ったことは正しい。でも、少し言葉がキツ過ぎたかな」