音を奏でて~放課後の音楽室~

「ヤル気ある?もう1か月しかないんだよ?」


「はい」


小さな小さな返事が返ってくる。


「外で一人で練習する?今の音じゃ、みんなの邪魔してるよ?」


「すみません」


「ほんとに出来ないなら、誰かに楽器代わってもらう?」


俯いている彼女の目から涙がこぼれるのが見える。


「ねえ、泣いたって解決しないよ?泣いてる暇あったら、練習してよ」


「優音!」


葵が泣いてる彼女の肩に手を置き、私をキッと睨む。


「優音、言い過ぎだよ。ほんとに今回は指が難しくて」


「でもこの曲練習し始めたときから言われてるよ?出来てないって、危機感がないんじゃないの?」


「どうしてそういう言い方するの?もっと優しく言ってあげればいいでしょ?」


「優しく言って出来るようになるの?先生に何回も優しく注意されてたよね?だったもう、とっくに出来てるはずだけど?」


その言葉に、葵が唇を噛みしめた。