「音あってない。不協和音しか聞こえない」


シーンと静まる音楽室の中、音あわせが始まる。


音に意識を集中させ、ひとつひとつの音に耳を傾ける。


わんわんと頭に響く音。


これは、みんなの音が合ってない証拠。


「周りの音、よく聞いて。フルート、ちょっと音高いよ」


だんだんと合ってくる音。


一本の糸が、ピーンと張り詰めた感じ。


それが、音が合った証拠。


「じゃあ、最初から」


もう一度、曲練習を再開する。


さっきより音が合って、綺麗に曲が聞こえるようになった。


いい感じ。


自分の身体が、曲にのっていくのが分かる。


きっと、吹いてるみんなもそう思ってるはず。