音を奏でて~放課後の音楽室~

「花音」


「お姉ちゃん!」


おばあちゃんの病室を出たあと、トイレに寄って顔を洗って、花音の病室に来た。


花音のところに顔を出すと、パッと笑顔になって私を迎えてくれた。


「花音、お母さんは?」


「今、先生の話し聞きに行った。もしかしたら私、しばらく家に帰れるかもしれないの」


「ほんと?良かったね」


「うん!」


花音は今中学2年生。


でも普通の中学生に比べたら身体は小さいし、なんとなく精神的にも幼い気がする。


病院生活が長い分、甘えたの性格がなかなか抜けない。


「あっねえ、お姉ちゃん」


「なに?」


「私が家に帰れたら、ピアノ弾いてくれる?」


「うん、いいよ」