音を奏でて~放課後の音楽室~

「先生?」


驚いて顔を上げると、真剣な表情をしている先生と目が合った。


「無理して弾くことない。弾きたくないときは、弾かない方がいい」


「あっ・・・」


先生の手が離れていくのと同時に、私も鍵盤から手を下ろした。


「先生」


「ん?」


「どうして私が、弾きたくないって分かったんですか?」


「なんとなく」


先生の手が、私の頭にポンと置かれる。


「面談のときから、なんとなく暗い顔してたから。その後のピアノの音も、いつものようにキラキラ輝いてなかったしね」


「そう・・・ですか」


暗い顔してたんだ、私。


普段通りにしてたつもりだったのに、顔に出てたの?


「ねえ、清水さん」