何曲弾き続けたか分からない。


気づけば、いつの間にか空は薄暗くなっていた。


ふと音楽室にかけてある時計を見ると、6時半を指している。


少し離れたところにあるグランドからは、微かに野球部の声が聞こえた。


「そろそろ帰りなさい」


弾き終わった脱力感でボーっとしてると、急に声をかけられ、ビクッと体が揺れた。


「すみません。びっくりさせてしまいましたか?」


「あっ、いえ」


声のした方を向くと、内田先生が笑顔で立っていた。


「先生」


「はい?」


「なんでもないです」


「そうですか」


続く沈黙。


それを先に破ったのは先生だった。