「じゃあ、気をつけて帰ってください」


「はい」


2階に職員室があるから、1階に下りる階段の前で別れる。


「それから、後輩指導はほどほどに」


「あの子たち、なにか先生に言ったんですか?」


「部長が怖いって」


先生は少しおどけたように、顔に笑顔を作ってそう言った。


「私は別に、嫌われても気にしませんから」


「独りになっても?」


先生の顔が少し曇った。


「独りは好きです。自由だし。女の子ってよく、昼休みとかになると一緒にトイレ行きますよね」


「ええ」


「ああいうの大っ嫌いです。一人で行けないのかって思います」


「ははっ。それは僕も思います」


「ですよね。私は集団でじゃないと何にも出来ない人には、なりたくないです」