音を奏でて~放課後の音楽室~

「私たちは、今まで優音のことをしっかり見て来なかった。だから、急にこんな話しになって寂しさを感じているというか、いつの間にこんな風に成長しちゃったんだろうって」


お母さんが顔を伏せる。


「先生」


パッと顔を上げるお母さん。


「私たちの大切な娘です。優音のことをよろしくお願いします」


そう言ってお母さんは、先生に頭を下げた。


「はい」


先生が私の手を握る。


それから私に向かって、ニッコリと笑ってくれた。


「おじゃましました」


しばらく三人で話をして、先生は帰ることになった。


結局お父さんは、あのまま他の部屋から出て来なかったけど、お母さんは笑って、あとで話せば大丈夫よって言ってくれた。


「また引越しの話とかしに来てもいいでしょうか?」


「ええ。お待ちしてます」


「そこまでお見送りしてくるね」