音を奏でて~放課後の音楽室~

「中途半端な気持ちではありません。優音さんが大学を卒業したら、結婚したいと思っています」


「お父さん、お母さん」


二人の前に左手を出す。


「僕の気持ちです」


「私も本気です。お願いします」


先生と二人で頭を下げる。


「嫌になるな」


お父さんがポツリと呟く。


「何がお願いだ。二人とも、もう決めてるって顔をしてるのに」


ソファーを立ってリビングを出て行こうとするお父さん。


「あっ、お父さん!」


慌ててお父さんの後を追おうと立ち上がる。


「好きにしなさい」


それだけ言うと、お父さんは本当にリビングを出て行った。


「優音」