音を奏でて~放課後の音楽室~

「どうぞ」


お母さんがみんなに紅茶を配る。


そのままお母さんは、お父さんの隣に座った。


「突然おじゃましてすみません」


先生が二人に頭を下げる。


「優音さんの担任をさせていただいております、内田仁です」


お父さんとお母さんを真っ直ぐ見つめる先生。


「今日はお時間を作っていただき、ありがとうございます」


「優音をどうするつもりだ?」


唐突にお父さんが聞く。


「少し前から優音さんとお付き合いしています。僕は今学期で高校教師を辞めます。4月からは、優音さんも通うF大でピアノの講師として働きます」


先生の声に、お父さんもお母さんも静かに耳を傾けていた。


「東京で、優音さんと一緒に暮させて欲しい。今日はそのお願いにまいりました」


「一緒に暮らす?」


お父さんがピクリと眉を動かす。