「ねえお父さん、お母さん、会って欲しい人がいるの」


そう切り出したのは、冬休みに入ってすぐ。


そのときのお父さんとお母さんの反応はすごかった。


夕ご飯を食べてたときだったんだけどね、お父さんは飲んでたお茶でむせて、お母さんは持ってた味噌汁のお茶碗を落としそうになった。


「そんなに驚かなくても」


「いやっ、なっ・・・」


しばらくお父さんは言葉が出なかったもん。


「今度の日曜日、連れてきてもいい?花音のところに行く前に少し会ってくれるだけでいいから」


「それはいいけど・・・」


お母さんが心配そうに私を見つめる。


「どんな人なの?もしヘンな人なら、お母さん・・・」


「そんな心配しないで。お母さんも会ったことある人だから」


「会ったことあるって・・・」


「二人にお願いがあるの。だから、会ってね」


真剣にそう言うと、お父さんとお母さんは静かにうなずいた。