音を奏でて~放課後の音楽室~

先生がニッコリと笑う。


「じゃあ私たち、高校卒業しても離れ離れにならなくていいんだ」


それがすごく嬉しい。


先生と離れるのは辛いから。


「優音、もっと大切な話し」


身体がふわっと浮いて、先生と向き合うような形で椅子に座り直された。


「俺と、一緒に暮さないか?」


「一緒に?」


「東京で」


先生がギュッと私の手を握る。


「ずっと一緒にいるための約束。俺たちは、ちゃんと向き合った」


私は親に、先生はピアノに、二人がずっと一緒にいるために、ちゃんと向き合おうって約束した。


だから、向き合うために頑張った。


でも、それは思った以上に辛くて大変なことで、二人とも何度も挫けそうになった。


だけどね、ちゃんと私たちは乗り越えたよ。