音を奏でて~放課後の音楽室~

「ここで、いろんなことがあったね」


「そうだな」


ここの音楽室で、いっぱい泣いた気がする。


なぜか、先生の前では素直に泣くことが出来たんだよね。


「優音」


「ん?」


先生が私の頭にポンと手を置く。


「この前の発表会の後、ホフマン先生と話したんだ」


「うん」


「あの人は、俺がピアノをやめたあとでも常に気にかけてくれてて」


「うん」


私の頭に置かれた手が、ゆっくりと頭をなでる。


「たまに電話があったりしたんだけど、まあそのときはいろんなことから逃げてて、電話に出なかったことも多かった。それなのに、未だに優しい笑顔を見せてくれる」


「うん」


私が初めて見たホフマン先生も、優しい笑顔をしてた。