「優音、ほんとに行かないの?」


「うん。いいよ、私は」


2学期最後の日、終業式やホームルームを終えた教室には、私と葵の二人だけ。


これから吹奏楽部のみんなが、3年生を送る会をやってくれるみたい。


「ほんとにいいの?」


「うん。葵は行ってきて。始まっちゃうよ?」


でもね、私には行く資格がないと思うんだ。


だって、途中で部活辞めちゃったしね。


「あのときのことは、優音は悪くないよ。私が勝手に優音に嫉妬してただけだから」


そう言って葵は、顔を伏せた。


「もうあのときのことは気にしてないよ。それに、部活辞めたのも私の意志だし、葵とは関係ないから」


「でも・・・」


「ほら。私はいいから、行って?」


いつまでも立ちすくむ葵の背中を押す。


「じゃあ、行ってくるね。優音も来てね?」