それから約1か月後、私は一人で東京の大学まで試験を受けに行った。


学力試験はもちろん、ピアノの実技試験、音を聴き取る試験などいろいろした。


「受かってますように」


そう呟いて、大学を出た。


新幹線に乗って家に向かう。


地元の駅に着くと、お母さんが迎えに来てくれた。


「どうだった?」


「まあまあかな」


「そう。受かってるといいわね」


「うん」


それから数週間後、私の元に大学から手紙が送られて来た。


中を開けたら合格通知。


ちゃんと奨学生として認めますと書いてあった。


「よかった」


ほんとのことを言えたから、やっと夢への1歩を踏み出せた。