今日の発表会は制服で出たから、家に帰って自分の部屋で普段着に着替えた。


それから下に下りて行く。


今なら、ちゃんとお母さんとお父さんに向き合えるかもしれない。


そう思って深呼吸をし、リビングのドアを開けた。


「優音、座って」


「うん」


リビングに入ると、お母さんとお父さんはソファーに座って私を待っていた。


初めて二人とちゃんと話をするかもしれない。


「初めて、優音のピアノを真剣に聞いたかもしれないわ」


お母さんがポツリとつぶやく。


「すごく上手でビックリした」


「ありがとう、お母さん」


お母さんが私を見つめる。


「ごめんね、優音」


それからゆっくりと、私に頭を下げた。