その声に後ろを振り返ると、帰ったと思っていたお母さんとお父さんが立っていた。


「お母さん、お父さん・・・」


帰ったんじゃなかったんだ。


急いで二人の元に向かう。


「来てくれたんだ」


「うん。帰ろっか、優音」


「うん」


お母さんがそっと、私の手を握る。


たったそれだけのことなのに、なんだか泣きそうになった。


お父さんの手が、そっと私の肩に触れる。


三人で車まで戻った。


お父さんが運転席に座り、私とお母さんは後ろの席へ。


車の中でも、お母さんは手を握ってくれていた。


家に帰るまで、会話をしたわけじゃない。


でも同じ空間にいることが、すごく嬉しかった。