「亜美ちゃん、緊張してる?」


舞台袖で緊張している亜美ちゃんの手を取り、目を合わせるようにしてしゃがみ込む。


今日はピアノの発表会。


小さい子から発表が始まるから、亜美ちゃんは2番目。


私は一番最後。


「優音ちゃん」


「大丈夫だよ。亜美ちゃん、いっぱい練習したもん」


頭をなでてあげると、少しだけ亜美ちゃんの顔に笑顔が戻った。


「いつもの通りやれば大丈夫だからね」


「うん」


舞台からマイクを通して、みちる先生の声が聞こえる。


「行こうか、亜美ちゃん」


「うん」


名前を呼ばれて、亜美ちゃんと手をつないで舞台に出る。


ピアノの前に立ってお辞儀をし、椅子に座った。