鍵を閉めて家に戻る。


それから私と内田先生、みちる先生と樹さんで夕ご飯を食べた。


「じゃあ、仁。ちゃんと優音ちゃん送り届けるのよ」


「はいはい」


「ごちそうさまでした。おじゃましました」


夕ご飯を食べ終わりしばらくして、内田先生が私を家まで送ってくれることになった。


玄関でみちる先生と樹さんに手を振る。


「行こうか」


「うん」


差し出された手を握って、みちる先生の家をあとにした。


「ねえ、先生」


先生の手を、ギュッと握る。


「また、ピアノ弾いてね」


苦しまないでと願った私の思いは、きっと先生に届いたはず。


だって今の先生には、ピアノを弾きだしたころの子供のように、キラキラした笑顔が戻っていたから。