音を奏でて~放課後の音楽室~

その瞬間、先生の腕が私の腰に回った。


「先生?」


「ありがと、優音」


「私、何かした?」


「もう、前を向いていける」


ドアノブにかけていた手を、そっと先生の手に重ねる。


「そっか。よかった」


顔を上げると、先生と目が合った。


二人で微笑み合って、視線を前に戻す。


「あっ」


ドアについてる縦長の窓から、みちる先生と目が合ってしまった。


声は聞こえないけど、「ラブラブね、早くおいで」って言ってるのが分かる。


小さくうなずくと、笑顔でみちる先生は家に戻って行った。


「戻ろっか、先生」


「ああ」