音を奏でて~放課後の音楽室~

「大丈夫、先生。大丈夫だよ」


「優音」


「うん。大丈夫」


そう言って先生の頭をなでる。


それから、どれくらい先生の頭をなで続けていたんだろう。


「ごめん、優音」


先生の肩の力がだんだんと抜けていく。


「カッコ悪いな」


「そんなことないよ」


先生が私から身体を離した。


「私は、無視されるのが一番辛いから。だから、先生の弱いところ見ても、全然平気だよ」


「ありがとう、優音」


私の頬に、先生の手がそっと触れる。


「おいで、優音」


先生が私においでって言うときは、膝の上に座ってってこと。