音を奏でて~放課後の音楽室~

「やめて先生!」


あまりにも強く叩く先生を見ていられなくて、思わず先生の手を掴んだ。


そのまま先生の拳を自分の手で包み込む。


「傷ついちゃうからやめて」


「優音」


先生のおでこが、私の肩に当たる。


「もうこれ以上、手を傷つけちゃダメ」


包み込んだ手をそっと擦る。


「そんなに苦しまないで」


「優音・・・」


「私は、昔どんな風に先生がピアノ弾いてたか分からないけど」


包み込んでいた手を離し、先生の頭を辺りに腕を回した。


「でも私は、今の先生のピアノ好きだから。昔みたいに弾けないのは悔しいかもしれないけど、だけど、今のピアノを認めて?それが、新しい先生のピアノだよ?」


「優音・・・」


先生の腕が、私の腰に回る。