「それでいいの?優音」


「うん」


顔を上げて先生を見ようとしたけど、なんだか目の前が滲んでよく見えない。


「優音」


先生の顔が近づいてきて、そっと私の目尻にキスを落とす。


ああそうか、私泣いてるのか。


「でも私、ちゃんと親に言うね。大学行きたいって」


「うん」


「それで、あの家出るね」


もう、あの家には帰れないから。


私の居場所はないから。


「そのときは、俺も一緒に」


「うん」


帰る場所がないなら、新しく作ろう。


先生と、二人で。