音を奏でて~放課後の音楽室~

「おいしい」


身体に温かいものが入ってきて、ホッと息をつく。


「ねえ、先生」


「ん?」


「私、帰れなくなっちゃった」


カップの縁に立てかけるようにして、スプーンを置く。


「私、あの家には必要ないんだよ」


「優音」


カップを取り上げサイドテーブルに置き、私を抱きしめる先生。


「きっと、心配してる」


「そんなことないよ。私がいなくても、誰も気にしない」


どうして私は生まれてきたんだろう?


邪魔なら、生まなきゃよかったのに。


「何も、変わる前に終わっちゃった」


「優音・・・」