音を奏でて~放課後の音楽室~

先生がサイドテーブルにコップを置く。


「汗かいたな。着替えようか。ちょっと待ってて」


私を寝かせた先生は、寝室を出て行く。


それからすぐに、タオルとお湯を張った洗面器と着替えを持って、寝室に戻ってきた。


「気持ちいい」


先生が温かいタオルで、私の身体を拭いていく。


「何か食べるか?」


私に服を着せた先生が、そう聞く。


「先生、料理出来ないでしょ?」


「まあ。だから、インスタント」


その答えに、クスッと笑う。


ピアニストを目指していた先生は、包丁とか手を切る危険性があるものは触らしてくれなかったらしい。


ご両親が亡くなってからは、買ったもので済ますとか、みちる先生に助けてもらってたって言ってた。


私がここに来るようになってからは、何度かご飯を作ってあげて一緒に食べたけど。


「じゃあ、卵スープが飲みたいな」