音を奏でて~放課後の音楽室~

「はぁはぁ・・・」


苦しいな。


誰か、助けてくれないかな。


お母さん・・・傍にいてくれるの?


頭なでてくれて、おでこに手を置いてくれて、嬉しいな。


ずっとずっと、そうして欲しかったんだよ。


そう思ってお母さんに笑顔を向けると、プイっと顔をそむけられてしまう。


あれ?どうして?


「お母さん、どこ行くの?」


部屋を出て行こうとするお母さんを呼びとめる。


「花音のところよ」


さっきは笑顔を見せなかったお母さんが、満面の笑みを見せた。


「優音は一人で大丈夫よね?いい子だもん」


「えっ?待って!待って!」


必死に呼びとめても、お母さんは部屋から出て行ってしまった。