「優音」


それからどれくらいたったか分からないけど、先生の声が聞こえてゆっくりと目を開ける。


「先生」


でも、目の前がぼやけて先生がよく見えない。


それでも必死に手を伸ばす。


そんな私を抱き上げ、先生は玄関の鍵を開けて家に入った。


「寒い、先生」


「うん」


お風呂場に連れて行かれ、バスチェアに座らされる。


「先生、濡れちゃうよ」


ボーっとした意識の中でも、先生がスーツを着てるのが分かった。


「いい。シャワーかけるからな」


ジャーっと音がして、お風呂場に温かい湯気が上がる。


足先から徐々にシャワーが当てられる。


雨で冷え切った身体が、だんだん温かくなるのが分かった。