でも、ケータイもお財布も持ってない。


もう、私の居場所はここにしかないの。


玄関の前にしゃがみ込む。


「寒い」


ガタガタと震える身体を、ギュッと抱きしめる。


「もう、疲れちゃったな」


ここまで来るのにいっぱい歩いた身体。


ボロボロになった心。


「疲れちゃったよ」


ねえ、私は必要?


私がいなくても、誰もなんとも思わない?


おじいちゃんとおばあちゃんのところに行きたいな。


そうすれば、きっと何もかも楽になるよね。


疲れと寒さで、だんだん眠くなってくる。


そのまま私は、ゆっくりと目を閉じた。