「ははっ」


角を曲がったところで、立ち止まった。


雨で服が濡れ、身体の熱がどんどん奪われる。


「分かってたことじゃない」


それなのに、涙が溢れて止まらない。


どうしてあんなこと聞いちゃったんだろう?


聞かなければ、こんなに辛い気持ちにならなかったのに。


痛いよ。


心が痛くて痛くて、どうしようもない。


どうして私は生まれてきたんだろう?


あの二人には、花音しかいらないのに。


雨が降りしきる中、向かったのは先生の家。


チャイムを押す。


「そっか。今日は家にいないんだった」


この前、今度の土曜日は家にいないって言われてたんだ。