音を奏でて~放課後の音楽室~

今日で花音の一時退院が終わる。


それにホッとしてる自分がいて、自分で自分を笑いたくなった。


「ほら。お姉ちゃんにピアノ弾いてもらえばいいでしょ?」


リビングから自分の部屋に戻ろうとしたら、急に私に話を振られてドアに手をかけたまま止まった。


どうしてそこで、私が出てくるの?


「ねえ、優音。いいでしょ?」


「ごめん。今、ピアノ弾く気分じゃない」


ドアに顔を向けたまま、そう答える。


「そんなこと言わないで。花音も聞きたいでしょ?」


「お姉ちゃんピアノ弾いてくれるなら、水族館我慢する」


「ねえ優音」


「ごめん」


お母さんと花音の声を振り切って、リビングを出た。


「待ちなさい、優音」


階段を上っていると聞こえてくる、お母さんの声。