親に近づこう近づこうって思ってるのに、なかなか届かない。


そんなある日。


「ねえ、優音」


「ん?」


病院から帰ってきたお母さんは、かなりご機嫌がいい。


そんなときに言うことは決まってる。


「花音ね、一週間戻って来れるの」


「そっか。よかったね」


お母さんが機嫌がいいときは、花音にいいことがあったとき。


「花音ね、水族館行きたいんだって。優音も一緒に行こうね」


「うん」


花音が戻ってくるのに、ちっとも嬉しくない。


ごめんね、花音。


お姉ちゃんなのに、あなたのこと素直に喜べなくて。


ダメなお姉ちゃんで、ごめんね。